隣の雪水



冬の定番お鍋、ということで
適当に買い揃える。


闇鍋という案もあったが
それは即却下。


スーパーについてみれば、
あの人気者の姿はない。


と思えば、
いつの間にか後ろにいる。


「ねえねえ、矢野さんってさ、
もしかして大食い?」



籠の中身を見て
ケラケラと笑いながら言ってくる。


「そんな訳ないでしょ!
アパートの皆と食べるの!」


「アパート?
もしかしてあのボロアパートの住人?」


たまげたものだ。

まさかミヤコ荘の存在を知っていただなんて。


そこだけは褒めてつかわそう。

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