隣の雪水


買い物を終えた私は家に向かって
再び足を踏み出した。


さり気なく荷物を持ってくれている人気者。


『いいよ』と言っても聞いてくれなかった。



「なんで瀬波くんはミヤコ荘のこと知ってるの?」



沈黙が耐えられない私はついつい聞いてしまった。



「え、知ってるも何も、
俺の家の隣のアパートだし。」


「もしかしてあの豪邸…」



人気者は顔も良ければ、家柄もいいのか。


神様は不公平だなあ…


つくづくそう思っていると、
その豪邸の門についた。


「ありがとう、それじゃ。」


会釈を一つしてその場を去ろうとするが、
瀬波くんは荷物を返してくれない。

「なんか、
矢野さん見てたら俺も行きたくなってきた。」


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