鈍恋diary
歌うのも嫌いじゃないけど、聴いてるのが好きだからそれでいいけど…
ちゃんと歌ってるの、貴史君だけだと思う。
歌っても聴いてないから、みんな適当…
だから、なんとなく…時間が経つと、あたしも貴史君の歌しか聞かなくなってた。
あとは、チョコ食べながらボーッとしちゃってて…話し掛けられても曖昧な返事しかできなくて…
だから、突然マイク越しに怒鳴られて、あたしには返す言葉がなかった。
「史華!おもんなさそうにしてんなよな!んな顔するなら、お前も一曲くらい歌え!!」
「ちょっ、貴史!マイク通していきなりそういうこと言うなって…」
博信君はそう言ったけど、あたしが顔を上げたら、貴史君は目の前に来てて…
「歌えよ!」
そう言ってあたしにマイクを突き付けて来た。
「でも、あたし下手だし…」
「そういうのどうでもいいから、歌えっての!お前だけシラけてたら、周りもシラけてくんだろ!」
貴史君の言いたいことはわかる。
空気読むなら、周りに合わせて話して、歌って…そうしてなきゃダメなのはわかる。
でも…そういうつもりで来たわけじゃなく、突然こうなったから、あたしの中では切り替えができなくて…うまく周りに合わせるとかできない。