鈍恋diary

「ズバズバ言っても俺平気だし…お前が面倒なヤツなのわかってるから」

「面倒って思うならほっといてよ」

「不器用な面倒さだろ…ほっとけるわけねぇ」

なんなのホント…

嫌なヤツって思ってたのに…

人のこと見透かしたみたいに言われて、もっと嫌なヤツって思うのに…

なんで嬉しいとか思っちゃうんだろ?

「史華ちゃん…次、史華ちゃんだよ?」

「あ、ごめんなさい」

順番回って来てたの気付かなかった。

「大丈夫だから、謝んなくていいって」

龍樹さんはそう言って、この間みたいにあたしの頭をクシャッと撫でた。

「タカ…そんな悪いヤツじゃないだろ?」

「あ…そうですね」

ボソッと言われて、聞かれてたんだと気付いた。

いつから聞かれてたのか…

ちょっと気まずいし、それ以上に恥ずかしい。

頭の中がぐちゃぐちゃ…

雑念だらけの投球は、見事に溝に嵌って1本も倒れなかった。

多分龍樹さんに声掛けられてなくても、結果は同じだったと思う。

貴史君の意外な一面だけでも、あたしには十分衝撃的だったから…
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