鈍恋diary

「お前の番。とりあえず真ん中狙って投げろ」

「あ…うん」

ボールを手にして、貴史君に言われた通りに投げる。

レーンに並んだ三角のマークを意識して…

差し出すように真っ直ぐ…

ボールは真っ直ぐに転がって…

「ガターじゃなかったよ!」

「史華ちゃん、ナイス!」

「ありがとうございます」

あたしはピンを倒せたことで満足してた。

「いやいや…こっちがありがとだから。さすがにコレはタカも無理だろ」

「…え?」

龍樹さんの言葉に恐る恐る振り返ると、最悪のスプリットが完成してた。

「スネークアイとか、ホントありがと史華ちゃん」

「スネークアイって?」

「7番と10番残ったあのスプリット…スプリットもいろいろ呼び方あるんだよ」

龍樹さんも貴史君もボーリング詳しいんだ?

スプリットの呼び名なんて初めて聞いた。

でも、スネークアイって…蛇の目…

確かに奥に残った2本のピンは蛇が睨んでるみたい。

「タカ取れる?」

「これは狙って取れるもんじゃねぇだろ…真横にピン飛ばして当てるって理屈わかってても、運任せだっての」

だよね…やっぱ。

プロでも難しいって聞いたような気がするもん、コレ。
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