鈍恋diary
だけど、反対側には貴史君がいて、肩がぶつかってしまう。
「あ…ごめん」
「別に…気にしなくていい」
態勢を整えたいけど、左腕には航希がくっ付いたまま。
「ちょっと、航希…離れてよ!」
「八つ当たり?」
「違う!」
なんかこのままじゃ、あたしが貴史君に凭れ掛かりそうなんだって!
「じゃあ、別にいいじゃん。いつもだし」
航希がくっ付いてくるのはそうだけど…
「別にいいけど?史華にくっ付かれることなんてないし」
耳元で貴史君に囁かれて、言葉も出ない。
変な言い方しないで…とか、あたしが恥ずかしい…とか…
言いたいことはたくさんあるのに、どれも言葉にならなかった。
その後も航希と貴史君は、普通の会話か口論かわからない会話を続けてて…
あたしはその会話に口を挟むのはやめて、黙って聞いてた。
春日駅に着いて、三人揃って改札を出ると、隆平君たちがいた。
「史華と貴史君も一緒にボーリング行く?」
「あたし、用事ある」
「貴史君は?」
すっかり貴史君に懐いてる…
航希のこういうとこって、ちょっと羨ましくも思う。