鈍恋diary

だけど、反対側には貴史君がいて、肩がぶつかってしまう。

「あ…ごめん」

「別に…気にしなくていい」

態勢を整えたいけど、左腕には航希がくっ付いたまま。

「ちょっと、航希…離れてよ!」

「八つ当たり?」

「違う!」

なんかこのままじゃ、あたしが貴史君に凭れ掛かりそうなんだって!

「じゃあ、別にいいじゃん。いつもだし」

航希がくっ付いてくるのはそうだけど…

「別にいいけど?史華にくっ付かれることなんてないし」

耳元で貴史君に囁かれて、言葉も出ない。

変な言い方しないで…とか、あたしが恥ずかしい…とか…

言いたいことはたくさんあるのに、どれも言葉にならなかった。

その後も航希と貴史君は、普通の会話か口論かわからない会話を続けてて…

あたしはその会話に口を挟むのはやめて、黙って聞いてた。

春日駅に着いて、三人揃って改札を出ると、隆平君たちがいた。

「史華と貴史君も一緒にボーリング行く?」

「あたし、用事ある」

「貴史君は?」

すっかり貴史君に懐いてる…

航希のこういうとこって、ちょっと羨ましくも思う。

< 188 / 197 >

この作品をシェア

pagetop