鈍恋diary
話す気になんてなれない…
腕を放してほしいけど、言葉にはできなくて、引っ張られるがまま…
でも、そんな考えも読んだみたいに腕を掴む力が緩んだ。
駅までは真っ直ぐ進めばいいだけの場所。
そのまま手を離して、先に行ってくれればいい…
そう思った。
あたしの腕を掴んでた手が、滑り落ちて…
指先と指先が触れた。
解放されるんだって安堵した。
もう気を張る必要はないんだって…
だけど、触れた指先は離れずに、あたしの指をそっとなぞってた。
そのまま…ギュッと握るわけでもなく、貴史君の手はあたしの手を包み込んでいた。
頭の中が真っ白になって、思わず触れ合ったままの手に視線が走る。