鈍恋diary
10/23
それから二週間…あの人たちに会うことはなかった。
帰る方向が同じだったから、偶然会うことはあるかも…って思ってたけど、意外とその確率は低いらしい。
まぁ、同じ時間の電車に乗っても、同じ車両にならなきゃ顔を合わせることなんてないから、そんなものなのかもしれない。
「そう言えば…史ちゃん、あれから貴史君に会った?」
「会ってない…どうしたの急に?」
ホームへの階段を降りながら、突然問い掛けられ、あたしは穂花の様子を伺う。
「気になってたけど、史ちゃん何も言わないから…どうなのかなって思って」
どうと言われても…
「ほら、二人で出て行ったし…その後ずっと手繋いでたから、連絡取ったりしてるんだろうなって。
でも、史ちゃんいつもホノと一緒だから…ホノが邪魔してるのかなぁって思って」
「いや…ホント何もないし、連絡先も知らないから、変な心配しないでよ」
手繋いでたのは成り行きだし、離すタイミング逃してそのままだっただけなのに、とんでもない勘違いをされてたみたい。
「あ、そっか…史ちゃんたちいなかったから連絡先交換してないんだっけ?」
ってことは、他の人たちはしてたんだ…
あたし、いなくてよかったかも。