鈍恋diary
「史ちゃんって、どういう人が好みなの?」
「腹黒くない人…」
「それなら、コウ君も貴史君も大丈夫なんじゃないの?」
穂花って、ホント…大丈夫なのかな?
どっちも相当腹黒いと思うけど…ね。
「あ…史ちゃん、向こう乗ろう!」
電車がホームに入って来ると、突然穂花はあたしを引っ張って、前の車両へ…
なんか嫌な予感がしたけど、前の車両の方が人は少ないし、あたしは穂花について行った。
ドアが開いて、高校生と中学生の集団が降りるのを待ってから、あたしは穂花とその車両に乗り込んだ。
一番前の車両…普段なら、穂花は改札から遠くなるから、この車両には乗らない。
「あ、やっぱりそうだった。史ちゃん、貴史君いるよ!」
ニコニコしながら告げる穂花に、あたしは自分の悪い勘が当たったことを呪いたくなった。