鈍恋diary
「史華…目閉じて」
「わかったけど、なんか変なことしたら股間に蹴り入れるからね?」
「それ絶対ヤダ…」
しょうもないイタズラしたら、ホントに蹴り入れてやる。
「史華、目閉じてって」
「わかったわよ!」
言われた通り仕方なく目を閉じる。
航希が動く気配は感じても、何してるかはわからない。
「ねぇ…いつまで目閉じてればいいわけ?」
問い掛けに答えはなくて、肩を掴まれた。
「ちょっと…航希?」
「黙ってて」
小声で囁いた航希の吐息が喉元にかかる。
「ちょっと…なんでそんな顔近いのよ!」
状況がわかった瞬間、あたしは瞳を開いてた。
航希を突き飛ばしてやろうかと思った…
でも、できなかった。
あたしが動くより先に、航希があたしにしがみついてた。
何が起きたのかわからない。
航希が何をしたかったのかもわからない。
確かなのは、なんでかあたしが航希に抱き締められてることだけ…