鈍恋diary

「ちょっと…何してんの?」

答えの代わりに更にギュッとあたしにしがみついてくる航希に腹が立つ。

「変なことしないって言ったのに、なんで抱き付いてきてんのよ!」

「ごめん…」

いつもみたいに、笑って離れると思ってた。

でも、航希は素直に謝るだけで、離れてくれる気配はない。

「…もういいから、離れてくれない?ここ、電車の中なんだけど?」

「ヤダ…」

素直に謝ったクセに今度は拒否?

「航希?離してほしいんだけど?」

「ヤダ…」

ホントなんなの、この子は…

ヤダって言いながら、更にしがみつくとか、あたしを絞め殺す気?!

「苦しいんだけど?…離すの無理ならもうちょい力抜いてくんない?」

「振り解かないならそうする」

「わかった、振り解かないから…ホント苦しい」

少し腕の力を緩めた航希は、あたしの首筋に顔を埋めた。

「どうしたの…急に」

「ごめん…」

「謝らなくていいから、説明してくんないかな?」

意味わからないままとか、どうしていいか困る。
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