鈍恋diary

「史華、急げよ!」

グイッとあたしの手を引いて、ドアの外に飛び出そうとする貴史君に、あたしも頷いて足を踏み出した。

「…っ!」

左足に痛みを感じて、思わず叫びそうになるのをなんとかガマンした。

捻挫してたことをすっかり忘れてたとか、ホントあたしバカだ…

痛みに気を取られた一瞬、足が止まって…

「え…うわっ!」

ガマンしたのとは別の叫びが、飛び出ていた。

貴史君に引っ張られてたから、バランスを崩して…

ホームに落ちるように、ドアの外へ飛び出してた。

「史華!」

「痛っ!」

なんとか転けないようにって、努力はしてみたけど…

捻挫してる足に思いきり力入れちゃって、グキッて…

もうホームに激突でいいや…とか、一瞬のうちにいろいろ考えてた。

でも、衝撃の後にホームの硬い感触はなくて…

温かいモノに包まれてた。

「悪い…大丈夫か?」

耳元で聞こえた声で、咄嗟に閉じてた瞳を開く。
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