鈍恋diary
「ねぇ…どこ行くの?」
改札を出ても止まる様子を見せない貴史君に問い掛けてみる。
「病院…」
「私、保険証とか持ってないし、お金もそんなに入ってないよ!」
保険証ないと全額負担とかなって、医療費高いんでしょ?!
病院行ったはお金ありません…とかないよ、ない!
「そういう心配しなくていいトコだから、暴れんな」
どんな病院よ、それ…そんな病院聞いたことないっての!
駅裏に回って、路地をいくつか曲がって…辿り着いたのはホントに病院だった。
個人経営の整形外科…あるのは知ってたけど、来たことはない病院。
貴史君は来たことあるのか、躊躇なく中へ入った。
「ここで待ってろ…一応コレ書いとけ」
待合室の椅子に降ろされ、投げ渡された問診票に視線を落とす。
受け付けには誰もいなくて、なんかちょっと居心地が悪く感じてしまう。
「適当でいいからな?」
「いや、それダメでしょ?」
「言っとくからいいよ」
言っとくって…ここの常連?
鞄持って、奥の方に行っちゃうし…あたしにどうしろと??