鈍恋diary
「んじゃ、大丈夫だね。タカの彼女とかなら、俺触んない方がいいから」
あぁ…そういうの気にしてたんだ、この人。
貴史君なら、お兄さんの彼女とか気にしなさそうだけどな…
「俺、まだ死にたくないし」
「…はい?!」
どういう意味?
「いや〜、去年アイツの道着こっそり借りたんだわ…学校祭で。そしたら、バレて蹴り入れられてさ…ここんトコ骨にヒビだよ?」
自分の右腕を指す龍樹さんに、曖昧に頷く。
「普通じゃないでしょ…道着でソレだから、彼女とかに手ェ出したら俺殺されるなぁって」
ホント普通じゃない…
でも、貴史君ならやりそうって思えるのがねぇ…
なんか兄弟ゲンカ凄まじそう。
「ホントに彼女じゃない?俺の命かかってるんだけど…タカに告られたとかない?」
「違います!ないですから、ホントに」
なんなんだろ…男の子の家に来るとこういう誤解はされるものなのかな?
それとも、貴史君が女の子連れて来ないせい?
「んじゃ、信じてテーピングやっちゃおっか!
あ、こういうの応急処置とか予防とかでやることだから、俺がやっても大丈夫!心配しなくていいよ」
ニコッて笑って、龍樹さんは私の足に触れた。
…顔立ち似てるから危ない笑顔だよ。