鈍恋diary
貴史君なら、絶対言わなそう…ホント性格は似てないみたい。
まぁ、龍樹さんがこういうノリの人なのも意外だったけど。
「はい、終わり!キツいとか痛いとかない?」
「あ…大丈夫です。ありがとうございます」
ちょっと足を踏みしめてみたけど、痛みは感じない。
「いいよ、気にしないで」
そう言って、龍樹さんはあたしの髪をくしゃくしゃと撫でた。
なんかくすぐったくて…気恥ずかしい。
「史華、テーピング…って、なんで龍樹がいるんだよ?」
「帰って来たら、親父にフミカちゃんのテーピング頼まれたから」
龍樹さんを見て驚いたような顔をした貴史君の視線が、一瞬あたしに向けられた。
目が合って…頭撫でられてたの、見られてたのかな?って…なんか恥ずかしいと思ってしまう。
でも、あたしが視線を逸らすより先に、貴史君が逸らした。
「…それなら俺がやることねぇな」
「は?…あ、おい、タカ待てよ!」
踵を返し、また出て行こうとする貴史君の肩を掴んで、龍樹さんが止めようとしてた。