鈍恋diary

「ホノちゃんも座んな」

「ホノ次で降りるし大丈夫」

「いいから、座っとけって」

「あ…じゃあ、ありがとう」

穂花もあたしの隣りに座って…

いつもなら、次の駅までお喋りなんだけど…貴史君いるからか、穂花は黙ったまま。

「ちょっと…なんでアンタはあたしの目の前に立ってんの?」

「なんとなく?」

なんとなくで、目の前に立たれても…

見下ろされてるのって、なんかイヤ。

「…足、どうなんだ?」

「痛みもないし、大丈夫」

「ちょっと見せてみろ」

「いいって、平気だから」

断ってはみたけど、貴史君はしゃがみ込んで、あたしの足を掴んでた。

咄嗟にあたしは、両手でスカートを押さえつける。

「何してんだよ…別に覗かねぇっての」

「わかってるけど、念のためよ、念のため!」

意図しなくても、見えるかもしれないし…

「お前にそういう配慮があったとか意外」

「悪かったわね、配慮なくて」

ホント嫌なヤツ…余計なこと言わなきゃいいのに。

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