鈍恋diary
「寝てる。起きてたら、史華ちゃんに声掛けた時点でなんか言うだろうし…顔覗き込まれて黙ってるわけないから」

博信君の言葉に、あたしも貴史君の様子を窺う。

目は閉じてて、ホントに寝てるみたい。

「へぇ…史華ちゃんパワーすげぇな」

「あたし何もしてないけど?」

催眠術なんて使えないし、あたしが寝かし付けたわけでもないんだけど…

「いや、史華ちゃんいるだけで違うから」

「タカが女の子に話し掛けてるだけでも、俺ビックリした」

「あ…それは、あたしが昨日捻挫しちゃったの気にしてくれてたからだと思う」

それ以外に、あたしに話し掛ける理由なんてないだろうし…

「テーピングまでしてたよな…俺が頼んだら、自分でやれのひと言で終わりなのに」

「タカは間違ってもフェミニストじゃないし…史華ちゃんだからだと思うけど?」

あたしだからって…それはもっとない気がする。

貴史君が聞いてたら確実に怒るだろうから、何も言わないのはやっぱりホントに寝てるからなんだろう。
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