鈍恋diary
「なんでそんなこと忘れんだよ…お前、変なトコで抜けてるよな?」
「悪かったわね…そういうことだから、あんたさっさと帰れば?」
「いいよ、一緒に待っててやる」
別に待っててくれなくていいんだけど…
航希はあたしを引っ張って、また駅の構内に戻る。
ベンチに並んで座って…
あたしはとりあえず母親に迎えを頼んだ。
「航希、先に帰っていいよ。買い物出てるから、遅くなるって言われたし…待ってたらあんたまで帰るの遅くなるよ?」
「大丈夫だからいいよ、一緒に待ってる」
「…そう、ありがと」
言い出すと聞かないし、言い争いを今すると気まずくなりそうで、おとなしく引き下がる。
「あのさ…史華って、あの人のこと好きなんじゃないの?」
「あの人って…貴史君のこと?」
問い掛け返すと、航希は頷いた。
「そう見えるわけ?…貴史君には悪いけど、あたしの苦手なタイプ」
「そうなんだ?見た目的には好みみたいに言ってなかったか?」
「見た目は…確かに可愛いからそうだけど、あたし見た目で選ばないわよ?見た目より性格でしょ、普通に考えて」
そりゃ、貴史君のことまだよく知らないから、アレだけど…
どう考えても、気が合うとは思わないし。