私だけの魔法の手。
「ん、だよな。ごめん」
さっきまでの軽い感じじゃなくて、髪を撫でるようにして真面目な顔を向けられる。
恥ずかしくて、照れくさいけど、本当は口ほどに怒っている訳じゃない自分の胸の内に気付いた途端、更にポロポロと涙が溢れて止まらなくなった。
「美優……おいで…」
目の前の子にそんな風に言われて。
驚いて目を見開けば、俺は名前知ってるよ?って言いながら腕を引かれる。
胡坐を掻いて座っている胸に倒れ込むようにして抱き寄せられて、思いの他力強い腕にキュッと縋ってしまった。