私だけの魔法の手。
「俺さ、毎晩店の外で立ち止まる子が気になってたんだ」
「え?」
「あそこ……外からじゃ擦りガラスで目隠しになってるけど、中からは外が丸見えな訳」
「嘘…」
「残念ながらほんと」
「…え?…やだ…じゃあ、ずっと……私が見てたのって…」
「ん、丸見え」
「や、ちょっとぉ……すっごい恥ずかしいんだけど…」
「三ヶ月くらい前、随分遅い時間に帰る子がいるなぁ、って気付いたら、なんかさ、ほとんど毎日だろ?」
「……」
「したら一ヵ月後くらいに、昼に友達と飯食ってるのを見掛けて……その友達が美優って呼んでたから名前、知ってたんだ…」
なんか俺、ストーカーみてぇじゃね?と、自嘲気味に首を竦める。