私だけの魔法の手。
「な、何?」
怯んだ私を嬉しそうに見つめる蒼の瞳は、さっき髪を弄っていた時と同じくらい真っ直ぐなもの。
「あの……えっと…この手は何……んっ!……蒼?……やっ…」
シャツの上から胸をツーっと辿った手が、頬を包んだと思ったら襟の中、首筋に触れてきて。
ヤバイ、ヤバイよ、この人の手!
うわ、触れられただけなのにゾクゾクして腰が!!
なんて私の内心の叫びを知ってか知らずか。
「捕獲完了」
蒼の唇が私のそれに触れる寸前、吐息混じりにそんな事を言われて息を呑んだ。