私だけの魔法の手。
まだ朝だとか、明るいとか。
そんなのは蒼に与えられるものの前ではどうでもいい、瑣末な事のように思えるくらい。
蒼の手も、唇も舌も。
双眸でさえ全てが。
私を捕らえて離さないと気付くのに、そう時間は掛からなかった。
「美優……すげぇ可愛い…」
そんな甘い言葉を囁いた唇が私の身体中を這って。
私は蒼に、骨抜きにされてしまう自分を隠す事ができなかった。
これからもきっと。
たくさんの人に魔法をかけるその指は、ベッドの中では、私だけの魔法の手になるのだ。
**おわり**