カノジョの心  カレシの想い
 再びベッドの縁に腰を下ろした。


 やわらかい彼女の髪に手を伸ばして、そっとなでる。

「ただいま」



 そう言うと、由美奈ちゃんは腕を伸ばして俺に抱きついてきた。


 そして、俺の胸に頬を寄せて言った。

「本物の正和さんだぁ」



 まだ夢の中にいるのか、彼女はよく分からないことを口にする。


「何?
 本物って?」

 大きく首を傾げる俺。
 


 すると由美奈ちゃんは、照れたように微笑んだ。


「今ね、正和さんの夢を見てたの。
 でも、私が抱きついたら消えちゃって・・・・・・・」



 由美奈ちゃんは俺の胸に顔をすり寄せる。

「ふふっ。
 今度は抱きしめても、消えない」

 満足そうに微笑んでいる。
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