カノジョの心  カレシの想い
―――なんだろう?



 ぼんやりしていると、私の前髪に触れる三山さん。


 触れた拍子に、彼の指先がおでこに当った。


「つめたっ」

 思わず首をすくめる私。




「あっ、ごめん」


 三山さんはあわてて手を引っ込めて、申し訳なさそうな顔になった。

「さっきまで、冷凍庫の掃除をしてたから」


「へ、平気です。
 ちょっとびっくりしただけで・・・・・・」



 私は触れられた辺りを手で擦る。


「それで、今、何をしたんですか?」



「ああ、糸がついてたんだよ」


 つまんで見せる彼の指には、細くて白い糸が1本。




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