カノジョの心  カレシの想い
 誰もが言葉を失っている。


 もちろん、私も。



―――何が起きてるの・・・・・・?





 硬直している私のおでこに、正和さんはそっと唇を押し当てる。



 完全に頭が真っ白な私は、彼にされるがまま。


 横にいる美沙ちゃんの息を飲む音が聞こえた。
 






 唇を離した彼が、5人に向かって言う。


「悪いけど。
 もう2度と、彼女を誘わないでくれる?」


 見上げた正和さんは、綺麗な目をゆるく微笑ませていたけど。


 男の人たちを見るその瞳の奥は、笑っていなかった。




 正和さんはしばらく私を抱きしめたあと、ようやく解放してくれた。


 だけど、肩は抱かれたまま。


「山瀬さん。
 彼女、連れて行ってもいい?」


「えっ?
 あ、ああ。
 いいですよ」

 名前を呼ばれて我に返った美沙ちゃんが、あわてて返事をした。
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