海風の如く
壱
激動の時代──江戸時代末期
そんな不安定な時代に未来で生きていたという少女がやってきた
名は湊 華蓮(みなと かれん)
湊財閥の二人目の子供にして長女
現在17歳
お嬢様らしさはその仕草のみ
幼い頃から英才教育を受けて育った上に、身の回りのことも自分でやるため、家事一般は全てこなせる
そして、空手で関東大会を制覇した腕前
それは華蓮自身の剣術の中で生きている
時間を司る神メルラータ(小雪)に導かれ、タイムスリップしてきた華蓮は壬生浪士組と名乗る土方に助けられ、身を置くことになる
壬生浪士組は京の町の治安を守る組織
後に新撰組と呼ばれる者たちだ
そんな彼らと出会い、副長である土方歳三に恋をして、前局長芹沢やその妾お梅との別れを経験する
転機が訪れたのは文久三年の秋
お梅を救えなかったことで目の前が真っ暗になったとき、坂本龍馬に思いもしない話を持ちかけられる
その場ですぐには決められず、断って新撰組の皆には内緒にするが、元治元年六月五日──池田屋事件
この事件で華蓮は自分の中に神の力が宿っていることを知り、風の神ウェオロスと契約し、風の力を使えるようになった
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