海風の如く




華蓮でさえも、今さっき唐突に突きつけられた可能性なのだ



__冷静に、冷静に




と心の中で唱えた






「私が知る史実とは確実に違う未来を辿っているとしたら………


長州藩に、本来はいるはずのなかった、いえ、存在する予定のなかった、頭脳となる人物がいてもおかしくない、ということです


既に未来を変えている私たちにとって、この先は何が起こるのか、ハッキリとはわかりません





ただ………
火薬の消費量、長州の奇策、噂
そんな情報をまとめると、仮説として成り立つんです」




これはあくまで仮説だ




確証はどこにもない





「……その、私も動揺していて、自分の考えをまとめきれていません


そして正直なところ、同じように神の力を持つ人物が対立する組織にいるなんて考えたくないです


その人物と戦わなくてはいけなくなるかもしれませんから…」






坂本も華蓮も可能であれば平和的解決に持ち込みたい



しかし、このような時代、武力行使になってしまうことの方が多いだろう






ゆっくり、できるだけわかりやすく話すと、永倉や斎藤だけでなく、他の幹部も大まかな部分はわかってくれたようだった




「ねえ、蓮さん」




「沖田さん?、はい、なんでしょう」




このような重い空気になると、沖田の発言数は極端に落ちるので、口を開くのは珍しい




「未来から来たのは蓮さんだけ、ですよね?」










__この人は…………また嫌なところを




「…………そのはず、です」





決まって、鋭い質問をするところは厄介だ



彼には誤魔化しがきかない






__その可能性は考えなかったわけではないけれど……







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