海風の如く




近藤の優しく、懐かしむような笑顔で華蓮も思い出す




あの長かった池田屋事件



京の町が焼け野原になりそうだったどんどん焼け事件




いずれも、新撰組みんなで一つのことを成そうとしていた時だ




華蓮はゆっくりと、頷いた




「その顔は思い出したようだね



君はそれでいいんだ
確かに、君にとっては未来は全て自分次第と思ってしまうだろう


しかし、これから作る出来事も思い出も、全て君も含め、俺たちみんなのものだ


それは変わらないんじゃないだろうか」





__近藤さん……………




新撰組の局長は穏やかだ



その局長を支え、鬼のように仕事をこなす土方と、今はいないが冷静に判断できる山南に挟まれて、普段は目立たないように見える



しかし、近藤の大事なことを見逃さない目と実直な言葉をこのような場で迷わず言えるその心が局長の器なのだろう




「………ありがとう、ございます…!!!」




華蓮はこうとしか言えなかった



__近藤さんは、初めて会った日から何も変わってない



それがとても嬉しかった




「うむ、だが俺は歳の意見を代弁したまでだよ」



「なっ……!!!、近藤さん!!」



あっさりとした局長の一言に、みなが一斉に土方を見る



「違ったか……?」



「いや、………まあ、俺はいつも蓮にそう言ってる」




__そういえば、言われたことがある




華蓮が迷うたびに、導いてくれたのは土方を含め、新撰組だった




この、大好きな仲間たちだった




「また、何かに妬きもちを焼いているのか、歳はまた素直じゃないからなあ」



『ぶっっっっ』




沖田をはじめ、永倉、原田、藤堂も吹き出す



「___勘弁してくれよ…」




__妬きもち?




困り顔の土方をよそに、華蓮は固まった





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