海風の如く
「今は蓮君をフォローする山南君がいないんだ
口下手だろうがそんなことを気にしている場合じゃないだろう
歳、ここでお前が蓮君の背中を押してあげないでどうする?」
普段、土方を弄ぶ方々にとっては面白い場面であったかもしれないが、近藤は真剣であった
目が___真っ直ぐに土方を捉えていた
「…………わかったよ
蓮、後で時間が空いたら部屋に来い
作戦会議だ、お前の意見を聞き、俺も考えたいことがある
山南さんがいない今、意見をぶつけ合い、最良の方法を考えるのが俺らの役目だ」
「はいっ!!!」
土方は、自分の気持ちを近藤に見破られ、それをみんなの前で言われてしまったからか、顔が少し赤いように見えた
「私の方こそ、いつもご心配をおかけしてすみません
言い出しにくいのですが、一つ提案したいことが……」
もう、迷っている時間などない
「なんだね?」
__一刻も早く
「山崎さんに弟子入りさせてください」
__情報を集めなければ、動くにも動けない
『……………はあ!?!?』
斎藤と井上以外は口をあんぐりと開けたままだ
「ちょ、ちょっと待て、どういう意味だ」
さすがに土方も動揺している
「話は山崎さんを呼んでからにしませんか?
その方がわかりやすいと思います」
「…………山崎」
土方が名前を呼ぶと、足音もしないのに
「お呼びでしょうか、副長」
と襖の向こうから声がした
「入れ」
顔色一つ変えず、山崎はいつも冷静だ
「げえっ、山崎、お前聞いてたのかよ」
と原田が聞いても
「申し訳ありません
俺の活動場所はたいてい天井裏なもので
それと、湊上が言い出すのもそろそろかと」
と、全く動揺する様子すらうかがえない