海風の如く




「今は蓮君をフォローする山南君がいないんだ



口下手だろうがそんなことを気にしている場合じゃないだろう



歳、ここでお前が蓮君の背中を押してあげないでどうする?」




普段、土方を弄ぶ方々にとっては面白い場面であったかもしれないが、近藤は真剣であった



目が___真っ直ぐに土方を捉えていた




「…………わかったよ


蓮、後で時間が空いたら部屋に来い





作戦会議だ、お前の意見を聞き、俺も考えたいことがある


山南さんがいない今、意見をぶつけ合い、最良の方法を考えるのが俺らの役目だ」




「はいっ!!!」




土方は、自分の気持ちを近藤に見破られ、それをみんなの前で言われてしまったからか、顔が少し赤いように見えた




「私の方こそ、いつもご心配をおかけしてすみません


言い出しにくいのですが、一つ提案したいことが……」



もう、迷っている時間などない



「なんだね?」



__一刻も早く




「山崎さんに弟子入りさせてください」




__情報を集めなければ、動くにも動けない





『……………はあ!?!?』




斎藤と井上以外は口をあんぐりと開けたままだ




「ちょ、ちょっと待て、どういう意味だ」



さすがに土方も動揺している



「話は山崎さんを呼んでからにしませんか?
その方がわかりやすいと思います」



「…………山崎」



土方が名前を呼ぶと、足音もしないのに



「お呼びでしょうか、副長」



と襖の向こうから声がした




「入れ」




顔色一つ変えず、山崎はいつも冷静だ




「げえっ、山崎、お前聞いてたのかよ」



と原田が聞いても




「申し訳ありません
俺の活動場所はたいてい天井裏なもので


それと、湊上が言い出すのもそろそろかと」



と、全く動揺する様子すらうかがえない





< 105 / 126 >

この作品をシェア

pagetop