海風の如く



華蓮は真っ直ぐに土方を見る




決意は揺らがないのだと悟ってもらうかのように____






「ったく………なんだって俺が折れなきゃならねぇんだよ」



土方はがっくりと肩を落とした



「……今回ばかりは、私も負けるわけにはいかないんです

新撰組のためにも、未来のためにも」



そう、後戻りはできないところまできている


一手でも間違えればもう終わりなのだ




「仕方ねえ



その代わり…………



お前に何かあった場合、山崎に処分を出す


それくらいの覚悟はしておけ


山崎も、蓮、お前もな」




「…………っ」




__さすが、土方さん




そう思わざるを得ない







「ほんっと、土方さんってば素直じゃないというか、大人げないというか……」


沖田をはじめ、その場にいた全員が、はぁ、と溜め息をついた




華蓮にとって、自分の失敗で自分の身に何か起こることよりも、自分の失敗で師となる山崎に何か処分が下されることの方が苦痛であることに間違いない




土方はそれをわかっていて、言っている



なんとも土方らしい言い方ではあるが、これも彼の愛の形なのだろう



__何があろうともミスはしてはいけない



そんな意図が読み取れ、緊張が体の芯を奮わせる



だが、そんなことに怯えてる暇などない








「わかりました、山崎さん、よろしくお願いします」


華蓮は自分自信を落ち着かせ、山崎に頭をさげた



「わかった」



山崎も同じように覚悟のこもった目をしている






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