海風の如く




「なるほど、おせっかいを焼くために、なかなかの理由を考えましたね」



「………すみません」




一度、呆れ顔をした山南は考え込むように下を向いたあと、笑顔を見せた




「仕方ありません
今回は君の提案に乗るとしましょう



確かに、夫婦と言えば誤魔化せますし、生活にも困らないですしね」




「えっ、いいんですか?」




「君が提案したことでしょう?」




「そうですけど、断られるだろうなって思っていたので………」




「そのわりには、なかなかの押しの強さでしたよ」




こんなやり取りをすることになるとは想像もつかず…



そして明らかに華蓮が押し負けている気がしてならない








「………幸せになって欲しいんです


山南にも、明里さんにも」




我慢ならなくなり、華蓮は心の内を明かした




「……つくづく奏上君の真っ直ぐさには感心させられますよ」



「え?」




「未来や新撰組の心配だけでなく、こうやって個人のことまで気遣い、前を見据えて行動する


君の良いところだと私は思います




その長所を生かせるように私もまだまだ頑張らなければいけませんね」




優しく笑う山南を見て、やっぱり少しでも離れて過ごすことは寂しいと感じてしまう




「…ありがとう……ございます__!!!」




「私に幸せになれと言うからには、君にも幸せになってもらいますからね?」



「……いや、その、それは後で…………」




「土方君はせっかちな方だと思いますよ?」




「もう、山南さんってば」






___こんなに素敵な人を亡くすことにならなくて本当によかった




華蓮は心からそう思った






__________


_____






それから、山南は明里を島原から買い、自由にし、一緒にいる



明里の表情を見ても、不幸せだとはとても思えなかった












「それにしても、土方君と奏上君が揃って出向いてきたということは___」




「あぁ、山南さんも蓮から既に聞いてるんだろ?」




「はい」



本題は、長州に潜む謎の人物だ






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