海風の如く




何かしら情報を得るための手を打つ必要がある



「……私の、力を使いましょう



白い紙を持ってきてあります




いくつか山南さんに託します、そして、その白札から聞こえる声を山南さんに聞こえるように、残り風を置いていきます




それをどう使うかは……山南さんと、山崎さんにお任せします」




___なるほど、蓮も考えたな




白い紙に華蓮が念じればその周りの話し声は華蓮に筒抜けになる



しかし、これからその隠密行動にあたるのは山南や山崎だ



華蓮に筒抜けになったところで、状況は読めない



例え、華蓮が山崎に弟子入りするとしても、常に山南や山崎と行動することはできないし、華蓮以外にも、白札の声を聞く者が必要だ




そこで華蓮は残り風を置いていく、と言った




___神の力を他のやつらに託せるのか?





「蓮、そんなことできるのか?」




「やったことはないですが、恐らくできます


山南さん、何か蓋のついたモノを持っていませんか?」




その言葉を聞いて、山南は明里に何かを持ってくるように伝えた



明里は一旦出ていくと、小さな木箱を抱えてすぐに戻ってきた




「ありがとう、明里


奏上君、これでいいですか?」




「はい、十分です」




その木箱は両手に収まるくらいのサイズ、深さも、少しあって丁度いい、と華蓮は感じていた



蓋を開け、華蓮は目を閉じる




「____風よ」




___力を貸して




「この木箱の中に、残り風となって入って___!!!!」




華蓮を取り巻いていた風が一点に凝縮される



池田屋事件の時に飲み込んだ青い塊とはまた違うが、それと似たような青い風の塊が木箱に入っていった



「___っ!?」



その場にいた全員が驚きを隠せなかった







「この木箱を開け、残り風に触れれば白札が聞いてるいる声が聞こえるはずです」



華蓮はそっと、山南に木箱と白札を手渡す




「………わかりました

明里、このことは誰にも言ってはいけないよ」



「……はい」






山南や土方、山崎が状況を察してくれる頭のいい人物でよかった


毎度毎度、そのことは身に染みて感じている




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