海風の如く
「土方さんは私にこれを頼みたかったんでしょう?」
華蓮はにっこりと笑った
「ここまでできるとは思わなかったが…
俺も読まれちまったわけだ」
「いつかのお返しです」
「言うようになったじゃねえか」
悔しそうに言ってるようには見えなかった
___たぶん、土方さんはそのつもりで私と山崎さんをここに連れてきたんだ
来る途中でそのことに気づいた
新撰組がこれから動くためには確実な情報が必要だ
そして、それを探るために山南は新撰組を出た
ならば取る手段は一つだった
「二人とも、もうそれくらい長く一緒にいる、ということですよ
さて、私はこれから山崎くんと作戦を練ります
奏上君が自ら動くとしても、限界があるでしょう
その分担を考えます」
「わかりました、お任せします」
こういうことは、山南や山崎の方が得意だろう
「そして残念ながら、ここにこの人数が一晩泊まるのは難しい
土方君、奏上君を連れて帰った方がいいでしょう」
確かに、ここには3人が限度だ
「わかった、あとは頼む」
少しこれからのことについて話したあと、土方は華蓮と山南の隠れ家を出た
____しかし
「……山南さんわかっていやがったな」
___ザアァァ
途中で雨が降りだしたのである
それもどんどん強くなっている気がした
「屯所までけっこうあるしな……
仕方ねえ、どこか泊まるところを探すぞ」
「えっ!?……………はい」
___土方さんと、外泊!?!?
まあ、いつも一緒の部屋で寝てるから何も変わらないけど
そして、二人は小さな宿に辿り着いた