海風の如く
___そう言えば、屯所にいるときに言ってた話ってなんだろう?
土方の思い付きで山南の隠れ家まで急いで来たが、そのおかげで話は聞けていない
華蓮は濡れた体を拭きながら、屯所で土方の言葉を思い出していた
___作戦会議だ、お前の意見を聞き、俺も考えたいことがある
山南さんがいない今、意見をぶつけ合い、最良の方法を考えるのが俺らの役目だ___
確かに、作戦会議はした
しかし、その前の近藤との会話からも、土方が言いたいのはこれだけではない気がしていた
「………聞かないと、わからないかな」
華蓮は独り言をポツリと呟いた
__誰もいない、よね
湯を浴びて、髪を下ろした後は人目に対して、特に気を付けて移動する
幕末に来てから2年、華蓮は18歳になっており、顔つきも、体もどんどん女らしくなっている
華蓮自身はそこまで気に止めてはいないが、屯所には華蓮が女だと知らない隊士たちや、伊藤などもいる
注意するようには言われているのだ
「土方さん、戻りました」
「……あぁ」
__スッ
襖を開けると、土方も湯を浴びた後なのか、長めの髪の毛は下ろされていた
___土方さんの方がよっぽど綺麗だけどな
「土方さん…………」
「なんだ?」
「屯所で言ってた、話、というのは作戦会議のことだけですか?」
今度は土方とばっちり目が合った
「どうしてそう思う?」
「近藤さんの言葉からなんとなく…作戦会議のことだけではないような気がしたのですが、考えてもわかりませんでした」
「ふっ………そうか」
_____!?
「な、なんで笑うんですかっ!?」
「いや、お前やっぱり疎い時あるから、こういうことは直接言わねえとなと思っただけだ」
いつの間にか敷いてあった布団の隣に土方が座り、その近くへと華蓮を手招きした