海風の如く
最前線では会津藩と薩摩藩が協力して戦っている
だから、新撰組はその後ろでひたすら駆けずり回っていた
「永倉さんっ、長州の動きはどうですか!?」
新撰組で一番長州の近くにいるのは二番隊
華蓮はもしもの時のために二番隊と合流した
「まだドンパチやってる
逃げ出したらやべぇんだよな!?」
「はい!
火を付け始めたら手の施しようがありません………最終手段はありますけど」
もし最悪の事態に陥ったら、華蓮の風の力でどうにかするしかないが、その前に防ぎたい
そのために逃げ出した長州藩士たちを討ち取る、または捕縛することを計画していた
「長州が撤退準備を始めたら、全員で総攻撃だ!」
「はい、ですが無駄な殺生はしないで下さいね?」
「わぁってるって!!」
そう言って永倉は走り去る
華蓮が歴史で起こることを知っている以上、こちらは圧倒的に有利
そんな中で長州藩士を滅多討ちにしては、余計な恨みを生むだけだ
池田屋の時と同様にできるだけ、捕縛で済ませたい
ちなみに池田屋の時に捕縛した長州藩士は、今は新撰組となっているが、顔を知られている可能性があるので、屯所待機だ
華蓮が事を起こさない限りは、彼らのことを公にするわけにはいかなかった
「蓮っ………蓮!!」
「はい、土方さん!!
どうかしましたか……?」
振り向くと慌てて駆けてくる土方が見える
「勝手にいなくなるな、探したぞ!」
「えっ、す、すみません……」
「……見つかったからもういい、あんまり離れるんじゃねぇ」
「…はい」
華蓮が行動派なのは知っていたが、土方も今は肝を冷やしていた
本来ならこんな戦場に女を連れてくること事態反対なのだ