海風の如く




最前線では会津藩と薩摩藩が協力して戦っている



だから、新撰組はその後ろでひたすら駆けずり回っていた



「永倉さんっ、長州の動きはどうですか!?」



新撰組で一番長州の近くにいるのは二番隊



華蓮はもしもの時のために二番隊と合流した



「まだドンパチやってる
逃げ出したらやべぇんだよな!?」



「はい!
火を付け始めたら手の施しようがありません………最終手段はありますけど」



もし最悪の事態に陥ったら、華蓮の風の力でどうにかするしかないが、その前に防ぎたい



そのために逃げ出した長州藩士たちを討ち取る、または捕縛することを計画していた



「長州が撤退準備を始めたら、全員で総攻撃だ!」



「はい、ですが無駄な殺生はしないで下さいね?」



「わぁってるって!!」



そう言って永倉は走り去る



華蓮が歴史で起こることを知っている以上、こちらは圧倒的に有利



そんな中で長州藩士を滅多討ちにしては、余計な恨みを生むだけだ



池田屋の時と同様にできるだけ、捕縛で済ませたい



ちなみに池田屋の時に捕縛した長州藩士は、今は新撰組となっているが、顔を知られている可能性があるので、屯所待機だ



華蓮が事を起こさない限りは、彼らのことを公にするわけにはいかなかった






「蓮っ………蓮!!」



「はい、土方さん!!
どうかしましたか……?」



振り向くと慌てて駆けてくる土方が見える



「勝手にいなくなるな、探したぞ!」



「えっ、す、すみません……」



「……見つかったからもういい、あんまり離れるんじゃねぇ」



「…はい」



華蓮が行動派なのは知っていたが、土方も今は肝を冷やしていた



本来ならこんな戦場に女を連れてくること事態反対なのだ




< 20 / 126 >

この作品をシェア

pagetop