海風の如く
この時代を残酷な方法で変えたりなんかしない
そのためにこの力を得ることを選んだ
──今、使わないでいつ使うのっ!?
だが、怖いものは怖い
元々は神様の力だ
使えば何かに飲み込まれそうになる感覚に襲われる
体にも相当の負担がかかるのだろう
4人は平隊士に指示を出して、人の少ない道を通った
そして燃える京が見える、行き止まりの裏路地まで来た
「大丈夫か?」
土方が心配そうに眉をひそめる
「……大丈夫です、なんとかします」
──ぎゅっ
「土方さん!?」
華蓮は包まれた右手の温もりに驚いて声をあげた
「……ここにいる」
わかりにくいけど、彼なりの愛が伝わる
それが嬉しくて、涙が出そうになった
『土方さんだけじゃねぇぞ!!』
土方と並ぶ華蓮の前方には永倉と原田が立つ
「俺たちも、ここにいない奴らも一緒だ、なぁ左乃!?」
「あったりまえだっての!!」
二人はニカッと笑った
胸にじんわりと温かいものが流れる
「……ありがとう…ございます」
皆が一緒、その言葉が心強く感じた
華蓮はそっと瞼を閉じる