海風の如く
悔やんでも、自分を責めても終わってしまったことはもう戻らないのだ
沖田の言葉は華蓮にも言っているように感じた
「………どう、生きるか…なんて…………わからへんよっ!!」
男の子は泣き叫ぶ
年は見るからに5,6歳
そんな年齢で一人にされて、いきなりどう生きるかなんて言われてもわからないだろう
「それなら、壬生寺に行きなさい
そこにいる人たちならいろいろと教えてくれるでしょう」
壬生寺ということは、お坊さんに頼むのか
新撰組が子供を引き取るわけにはいかない
刀をふるうため、安全とは言えない場所であるからだ
沖田は優しい笑顔で男の子の背中を押す
「うん、わかった………
お兄ちゃん、今度は守ってね」
男の子は涙を拭うと華蓮に笑いかけた
「わかった、約束ね」
何度も何度も手を振りながら走っていく姿を見送った
「沖田さん、ありがとうございます」
──これからどう生きるのかを考えなさい──
真っ暗だった視界がスッと広がるかのように晴れた
もし、沖田が華蓮に言うつもりでなかったとしても、お礼をしたかった
「……何がですか?」
涼しい顔の沖田を見てやっぱり、と思う
「さあ、行きますよ」
「はいっ!」
華蓮は再び走り出した