海風の如く
巡察から戻ると、沖田に道場に行ってそこにいるはずの斎藤に一番隊が戻って来たことを伝えるように言われた
次の巡察は三番隊だからだ
道場に入ると、威勢のいい声が聞こえる
華蓮は稽古をつけている斎藤に近寄った
「斎藤さん!」
「湊上か……巡察は終わったのか?」
「はい、交代の時間です」
斎藤は振り上げていた竹刀を下ろす
「わかった………三番隊、稽古はここまで、各自巡察の準備をしてくれ」
「はいっ!」
指示された平隊士の人たちがバタバタと道場を出て行く
さすがに稽古のあとすぐにでは体が持たないので軽く休憩したり、水分補給をしてから巡察に出るのだろう
「じゃあ、気をつけて行ってきて下さいね」
「ああ、連絡ご苦労だった」
斎藤を見送り、華蓮も自分の部屋へと戻った
「……帰ったか」
「はい、ただいま戻りました」
書類書きに忙しい土方の背中を見ながら話す
「……何かあったのか?」
土方は振り向くと華蓮の表情を見て、しっかりと読み取った
「巡察ですか……?
特に変わったことはありませんでしたけど?」
「そうじゃねぇ、お前自身のことだ」
「…えっと、いろいろ後悔……というか、自分の中でモヤモヤしてたんですけど、そんな暇あったらこれからどうするか考えようって気付いたんです」
沖田にだけでなく、土方にもバレていたのか
「………総司か」
「沖田さんが何か?」
「いや、なんでもねぇ」
土方は言葉を濁した