海風の如く
二人の間に沈黙が流れる
珍しいことではないが、今日は土方の様子がおかしいように感じた
不機嫌というか、苛立っている……というのか……
「ひ、土方さん……?
どうかしましたか?」
「…………」
しかし、土方は何かを言いかけてやめる
「もう、何かあるんだったら言って下さいっ!!」
こういうのが一番気になるのだ
普段、物事をズバズバと言う方であるから余計に
「………すまねぇな」
──何に対して…?
いきなり言われても、土方に謝られるようなことをされた覚えはない
「…何がですか?」
「お前が今回のことで自分を追い詰めてんのはなんとなく分かってた
だが、俺は相変わらず……なんて言えばいいのか分からなかった」
土方は華蓮を真っ直ぐに見た
「だから、すまねぇ、ってことですか?」
「…そうだ」
唇を噛み締める姿に、胸の奥がギュウとなった
なかなか素直になることがない彼がここまで言ったのだから、華蓮も言わなくてはならない
「謝らなければならないのは私の方です」
途端に土方の眉間にしわが寄った
「どういうことだ?」
「ヘコんでる暇なんてないんです
私の使命はこの時代に起こる悲しい出来事を起こさないようにすること……
そのために、また先のことに目を向けなければならなかったんです
そして、みなさんに甘えてばかりいて……考えが浅はかでした」
華蓮だけが、この後に起こる出来事を知っている
変えられるのは華蓮だけなのだ