海風の如く
華蓮は勝手場につくと、夕餉の材料をささっと揃える
いつもなら、手伝ってくれる人がいるのだが、今日の当番は永倉と原田
遅れてくるか、サボるのは目に見えていた
──さすがに、一人は大変なんだけどな
二人が早く来てくれることを願いつつ、華蓮はひたすら手を動かした
──バタバタバタ
「すまねぇ、遅れた!!」
「わりぃ」
そして、お決まりのタイミング──ほぼできた状態になってから現れることにはもう驚かなくなっていた
「いつも通りですね……」
もう何回目だろう
嫌みの一つや二つくらい言っても罰は当たらない
「いや、ほんっとすまねぇ」
華蓮が怒っていることを察知したのか、必死に頭を下げる男二人
「いつものことですからね
もう慣れましたよ」
もう気にしていないのだが、イタズラ心からか華蓮も不機嫌のままでいることにした
普段とは違う華蓮の言動に驚く二人
「お、おい……悪かったって」
「次はちゃんと来るからよ」
──ふふ、その言葉を待ってたの
華蓮は途端に笑顔で振り返る
「わかりました、約束ですからね?
次は……ないですよ?」
いつもうるさい二人が凍ったのは言うまでもない
永倉と原田は、あんな腹黒い態度を誰から教わったのだろうとコソコソ話していた