海風の如く
永倉、原田と一緒に夕餉を広間に運び終わるとぞろぞろと人が集まってきた
外出中の土方と巡察中の斎藤をはじめ三番隊と七番隊はいない
「飯の前に言っておきたいことがある
これから、我ら新撰組は町の復興と残党を追うことを隊務とする
動ける者たちで全力を尽くすように」
近藤が広間に響き渡るように大きな声で言った
『承知!!』
今日、極力全員で夕餉を取るようにと指示があったのはこのためか
幹部も平隊士もみな一緒というのは、最近では珍しい
昨日の一件で多くの隊士たちが動揺していたが、局長の一言でしっかりまとまるのだ
片付けは別の人が担当だったから、華蓮は夕餉が終わるとすぐに部屋に戻って二人分の布団を敷いた
小一時間ほど、待ってみたが、土方は帰ってくる様子がないので、布団に潜る
目を閉じると、昨日とは打って変わって気持ちが落ち着いていた
──今度大きな戦いが起こるのはだいぶ先……それが起こらないように手を打たなければ
新撰組はもちろん、京の人々や、お世話になっている会津藩も命が危なくなる
──まだ、具体的なことは見えてこないけど……まずは坂本さんに会わないと
会って、意見を聞きたい
行動力のある坂本なら、何かとてつもない妙案を出してくれるかもしれないという期待があった
──焦らず、一つずつ手順を踏んでいこう
最後に深呼吸をすると、華蓮は深い眠りに落ちていった