海風の如く




「そう言えば、俺、江戸に行くことになったんだよ」



会津藩に引き渡し、見回りをし始めるという時にポロッと言ったのは藤堂



今日は一番隊と八番隊での巡察だ






「えっ、平助君が!?
何しに行くの?」



こんな忙しい時期に屯所を離れるなんてよっぽどのことがあるとしか思えない



「さあ?
俺もまだ知らないんだよ
でも近い内に行くらしい」



「そうなんだ……寂しくなるね」



明るくて、なんだかんだ味方でいてくれる藤堂がいないのは心細い



「……嬉しいこと言ってくれるね

ところで、総司」



無邪気に笑うと藤堂は沖田に話しかけた



「……僕は寂しいとか言わないよ?」



「ちげぇよ、そんなこと期待してねぇ!!」



「ふふっ」



沖田はボケているのか、本気なのか……華蓮は笑ってしまった



「ったく……お前、姉さんいただろ?
手紙とか伝言とかあれば伝えてやろうと思ったんだよ」



「へぇ……ずいぶんと気が利くね」



──沖田さんってば、なんだってそんな言い方しなくても……



「たまには、な!
蓮、気にしなくていいからな
総司って昔っから俺に対してはこうだから」



「そう………なんだ」



斎藤と藤堂に対してだけは時々敬語を使わない時がある



それは華蓮も気づいていた



──確か三人は同い年だったよね





沖田はその後藤堂の申し出を受けて、お姉さんへの伝言を言付けていた




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