海風の如く
──パシンッ
──ダンッ
「……くっ」
華蓮は持っている竹刀をもう一度強く握った
──よし、ここっ!
──パシンッ
「一本、湊上!!」
『ありがとうございましたっ』
審判の声と共に竹刀を下ろし、向かい合って礼をした
今日は何故か絶好調
平隊士の男たち相手に三連勝中
体力もついてきたのか、まだまだいけるくらい元気だった
「やっぱり強いっすね、湊上さん」
今の相手は華蓮が入隊して少ししてから入ってきた隊士
二人とも手拭いで汗を拭いた
「えっ、まだまだですよ
組長方には及びません」
事実、一番隊の組長である沖田に勝つことなどめったにない
まあ、全くないわけではないので、そこが自信になってたりするわけだが
「ははっ、またお願いしますよ!!」
「はい、こちらこそ」
そう微笑むと、話していた隊士もそれを見ていた他の隊士たちも顔を赤らめた
華蓮が実は女だと知らない平隊士たちは、中性的な顔立ちの華蓮への対応に困っていた
華蓮自身も振る舞いを男らしくと心掛けているのだが、食事の時など、そのしとやかな動作は時々あらわれていたのである
「ずいぶん扱いが上手くなりましたねぇ」
道場の入口にいたのは沖田
一番隊の稽古中だと言っていたはずなのに、彼は遅刻だ
「沖田さんっ!!
どこに行ってたんですか?
探したんですよ?」
毎回毎回、大変なのだ
「……土方さんの所です」
「へ?」
いつものように誤魔化されると思ったのに、あっさりと言われて拍子抜けした