海風の如く




稽古が終わると巡察の準備に取りかかる



今日は午前中稽古で、お昼過ぎから巡察だ




「お疲れ様、いつも大変だなぁ」



話し掛けてきたのは華蓮と同期に入った隊士



なかなか腕もいいので、同じ一番隊にいる



「お疲れ様です」



「沖田組長のお守りして、副長の小姓だろ?
休む暇あんのか?」



沖田への言い草は問題だが、華蓮を心配してのことなのだろう



「お守りって………
ちゃんと休む時は休んでますよ
ありがとうございます」



同じような若者の中でも、女である華蓮の体つきはかなり華奢だ



最近はいろいろと手伝ってくれる人もいる



「気にすんな、みんなでやりゃあ早いだろ」



「はいっ」



──優しい人たちだ



不器用な時もあるけど、心に信念がちゃんとあって、真っ直ぐで………



新撰組は本物の武士の集団だと心から思う







「そう言えばさぁ、新しい隊士が入るって噂、本当かよ?」



華蓮の後ろの方で聞こえた噂話に華蓮は耳を傾けた



「そうそう、俺も聞いたぜ?」



──新入隊士か



そこまで珍しいことじゃない



今までだって何度かあるから、またか、という感覚だ



人数が増えるということは目が増えるということ



──今以上に気をつけなくちゃ



女であるということ、常人とは違う力を持っていること



華蓮は竹刀をしまい、道場をあとにした





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