海風の如く
──ダダダダ
──スパンッ
「ひ、土方さんっ!!」
──────!!
土方の部屋には近藤と山南────そして
「ずいぶんと可愛い隊士だね」
綺麗な顔立ち、カリスマ的なオーラ
だが、その中に冷徹な雰囲気が見え隠れしている
恐ろしい、と思った
「蓮、巡察はどうした?」
飲み込まれそうな華蓮は土方の言葉によって我に返る
「っその……至急報告したいことがありまして」
土方も華蓮の表情とその一言を聞いて何かを察したようだった
「わかった、後で聞く
今日の巡察はいいから茶を入れてこい」
「はい、承知しました」
華蓮は入ってきた時とは真逆に、ゆっくりと部屋を出た
──まに、あわな…かった…………
あれは間違いなく伊藤甲子太郎
新撰組の参謀となる人で、華蓮の知る史実では山南の脱走の原因であり、後に分裂して近藤の命を狙う主犯格
なんとしても入隊を阻止せねばならなかった
──どうして、教えてくれなかったんだろう……
でも、今までだって新入隊士は入ってきてから知らされている
今回だって、土方や近藤はいつも通りやったことなのだろう
──これから、どうしよう…
漠然とした不安を胸に、勝手場へと向かった