海風の如く
華蓮は一つの答えに辿り着く
歴史が変わっている─────?
もちろん、京の町が犠牲になるあの事件は起こらない方がいいに決まってる
長州が幕府と対立することは仕方ないとしても、民衆に被害を加えることは許されないはずだ
他の方法を考えていて、ということならまだしも、もしもっと綿密に計画を練っているのだとしたら───厄介だ
日付をまたぐごとに焦りつつあった
「あーっ!!
その羽織り新撰組やろ!?」
町を歩いていると一人の男の子が一番隊に駆け寄ってきた
隣にいるお母さんらしき女性は男の子の行動を抑えようとしている
京の人々からの新撰組への不信感は前よりは改善されつつあったが、まだまだ避けられることの方が多い
華蓮と沖田は男の子に近づいた
「そうだよ、私たちは新撰組
もし、怖い人たちが悪さしてきたらいつでも言うんだよ?」
少し前屈みになって優しく話しかける
「本当に助けてくれるんか?」
気づけば周りには小さな人集り
空気を読んだのか沖田も少し大きめな声で答えた
「もちろん、僕たちは京の治安を守るためにいるからね」
「うん、何かあったら言う!」
男の子は無邪気に笑うとお母さんの元へかけていった