海風の如く




少し先の方で、人集りができているのがわかる



「新八、蓮、行くぞっ!!」



「はいっ!!」
「おうっ!!」



原田は焦った表情を見せながら、走っていく



それを追いかけた



──確か、この先にはおまささんのいる団子屋だったかもしれない



華蓮は手に力を込めた










「ちょっと、やめてーや!!」


少し癖のある髪の毛を束ねた女の子が暴れる男たちに絡まれている



見ればその男たちは腰に刀を下げていた



だから、周りの人間も迂闊に手が出せない



「少しでいいんだ、まけてくれって言ってんだよ!!」



あきらかに酔っ払いだ



「こちとらギリギリの商売してるさかい、勘弁して!!」



「この……下手に出れば調子に乗りやがって………」



奴らの一人が刀を抜いた



──まずい、あと少し距離があるっ



大きな声だったので、聞こえてはいたが、まだその場所には着かない



「佐之、ありゃあ…」



「わかってる、おまさの声だ!!」



──急がないと、手遅れになる!



「先に行く、早く来いよっ!」



原田はそれだけ言い残すと、さらにスピードを上げた



──はやっ









「黙って言うことを聞けばいいものの」



男は刀を振り上げる



「そうやって、すぐ手を上げる
だから、あんたら武士なんて信用ならないんや」



刀を出されているにも関わらず、全く怯むことのない女の子についに男がキレた



「っ、このっ!!」






──カキンッ






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