海風の如く
間一髪、原田の槍が、男の刀を防いでいた
「よぉ、おまさ
かっこよかったぜ?」
思わず、目をつぶっていた女の子はその音と声に目を見開く
「佐之助はん……?」
怖かったのだろう、目には涙が溜まっていた
「おいおい、女相手に刀振り上げるとは、武士の風上にもおけねぇなぁ」
原田は浅く笑う
「てめぇ、誰だ!?」
「俺か?
新撰組十番隊組長、原田佐之助」
名乗った途端、男たちの顔色が変わる
「し、新撰組だと!?!?
くっ、くそがぁぁ!!」
原田は女の子を背にして立っている
その周りを180度囲まれた
一斉に攻撃をされる
──カキンッ
「同じく、新撰組二番隊組長、永倉新八」
「新撰組一番隊所属、湊上蓮
白昼堂々、女の子に手をあげた罪、許すわけにはいきませんっ!!」
なんとか間に合い、原田の両サイドに立つ
「かっこつけすぎだぜ、佐之」
「全く、走るの速すぎです」
原田は困り顔をした
「ったく、いいとこ持ってくなよ」
おまさという女の子がいる前だ、いいところを見せたいのだろうが、この人数に刃物を出しているとあっては放っておけない
「佐之、熱くなってるからって、殺すんじゃねぇぞ、蓮もな!!」
昼間っから、町人が見ている前で殺傷行為をするわけにはいかない
「わあってるよ」
「はい、体術のみにします!」
永倉は刀を峰打ちに持ち替え、原田は柄の部分を相手に向けた