海風の如く






華蓮は刀を抜かずに構える




「寄ってたかって調子に乗りやがって…!!」



一斉に、襲いかかってくる



ただ、スピードも刀の扱いも新撰組の平隊士の方がうんと上



華蓮は軽く避け、懐に一発おみまいする



「グハッ」



次々と得意の空手でねじ伏せた



永倉は峰打ちで、原田は槍の柄で相手を気絶させていった





そして、瞬く間に相手は全滅



しかもこちらも相手も致命傷はナシだ



──上出来、かな







「よし、これで終わりか!!」



「はい」



永倉は刀を鞘にしまい、全員の無事を確認する






「おまさ、無事か!?」



一方原田は敵を片付け次第、すぐに後ろを振り向いた



「別に……どこも怪我はないんやけど」



「けど?
どうかしたか!?」



おまさはどこか照れているようにも見える



「………佐之助はん、は?」



「……はっはっは、俺の心配をしてくれたのか!!
大丈夫だ、この原田佐之助がヘマをするわけねぇだろ!」



そんな会話を聞いて、華蓮と永倉は顔を見せ合い笑った






──さて、と



問題はここにへばっている男たち



華蓮は表情を変え、近づいた



「おい、蓮!?」



「大丈夫です、任せて下さい」



心配する永倉を手で制する







「傷は負わせていない、いつまでへばっている!?

たかが町娘相手に刀を持ち出すなど言語道断
今回は殺さないが、次は容赦しない

京を守るのが我ら新撰組の務めだ」




その言葉に、周りで見ていた町人たちも息を呑む



男たちはすぐに尻尾を巻いて逃げていった






「さっすが、蓮
この状況まで利用するとはな」



永倉がこそっと耳打ちする



──間違ってはいないけど、私も本気で腹が立ったから



そんな意味を含めて笑顔を返した





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