海風の如く
事が済むと、人集りもなくなっていく
「帰りましょうか」
「ああ、佐之は置いてくか
なんか盛り上がっているみてぇだし」
「ふふ、そうですね」
華蓮と永倉は帰ろうとした
のだが
「ちょっと、そこのあんた!!」
華蓮は気づくと誰かに腕をひっぱられていた
「えっ、な、なんですか!?」
振り向くとその手を引くのはおまさで、彼女は華蓮をお店の中に連れ込んだ
騒ぎの後だからか、お店には誰もいないし、入ってこない
永倉と原田も追いかけて、中に入った
「なんですか、突然」
おまさは華蓮よりも少し身長が低い
くりっとした目と、小さめな鼻が印象的だ
おまさは華蓮をじっと見つめる
そして、後ろにいた二人にキッパリと言い放ったのだ
「佐之助はん、永倉はん
なんで、うちとあんま歳差もない女の子が新撰組の隊士になってんのや?」
…………………
──ま、まさか、バレた?
いや、華蓮が女だという証拠を見られたわけでもない
華蓮は反論しようと口を開いた
「下手な嘘はいらんよ
見ればわかるし」
──だめだ、これは本格的にまずい
華蓮は後ろを振り返り、二人に助けを求めた
「お、おまさちゃんよぉ
どうしてそう思うんだ!?」
永倉は必死に言葉を探す
しかし、おまさは容赦がなかった
「見ればわかるって言うてるやないの
だいたい、二人とも気がついてないん?
どんだけ節穴や」
「うっ……」
確かに原田が言っていた通り、強い子だ
華蓮はあきらめ、ため息を漏らす